与太話はこの辺にして推しに幸あれ

個と全のあいだ

クリスマスですね。めりくりめりくり、無宗教ですがケーキいただきますし祝います。

年末年始、お休みできる方お休みできない方いらっしゃると思いますが、どちらにしても、あなたに素敵でやすらかなひとときがが訪れますように。

 

とかなんとか。

 

わたしは仕事早く終わって、さっさとクリスマスディナーに行きたい。

 

12/10で推しの現場納めてからもちょいちょい芝居を観に行っているんですが、クリスマスらしくスクルージをみたり、豊洲でまわったり。

 

基本はそんな感じ。

 

12/23(月)に新国、小劇場で「タージマハルの衛兵」を観てきました。

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タージマハルの衛兵 | 新国立劇場 演劇

プレビューのあとから気になってて、もっと早く観たかったんですが、わたしのスケジュール的にここしか観るタイミングがなく、千穐楽でむりやり観劇したのでした。

 

我が選択に後悔なし。

観て損なし、むしろ得しかなかった。

 

これ、わりと某SNSでも話題でしたよね。

ことぜん。

いやあ…、どん底、あの出来事……からのタージマハルの衛兵というラインナップ。

最後にでかいの持ってきたな?!

みたいな気持ちです。

いや、でかいのはクソデカ感情……(言い方…)

この作品をここでやるの、ものすごい攻めっぷりで、むしろ攻めすぎているのでは…。

 

役者がふたりで作る濃密な個と全をめぐる世界のはなし。

 

三部作の三作品目。

たしかに個と全でした。

ほんそれ。

 

で、わたしのふんわりとした感想ね。

芝居観るのが好きなだけのひとの感想ですので要領得ないのは諦めてください!詳しいことはわからん!笑(あらすじとかサイトを観てくれ!舞台写真も出てます!)ちなみにグロだめなひとはダメな芝居だよ!


開幕からすぐ夜の警備をする衛兵が2人たたずんでいる。

バーブルとフマーユーン。

あと一日で完成するタージマハルを背に口を閉ざしている。本来ならば口を閉ざしていなければならない。軽口など以ての外だ。誰も見てはいないと言って気を緩めた彼らはあれこれ話し始める。他愛ない夢や妄想、噂話、思い出話、そこから物語がまわりはじめます。

冒頭は朗らかそのもので笑いの漏れる芝居ですが、場を重ねるごと重くなる空気は場でないとわからない息苦しさかも。

なんかもうすごいとしか言えないんですよ。

舞台装置というか美術も趣向の凝らした美しいもので、お話も悲しくて苦しくて美しくて、演出も趣があり素晴らしい。そしてなにより役者が最高に最高に素晴らしかった。亀田さん、成河さん、お二人とも素晴らしかったです。すごい熱量で演じられていて瞬き忘れて観てました(観た方います?この話、役柄的に逆でも美味しかったんじゃないかなあと思うんですがどうですかね…)


彼らは幼馴染で、むしろ家族だと兄弟だと互いに呼び合う二人が憐れにすれ違っていく様が実に無残で美しいな、と。美しいが少しも喜びのない美しさです。救いもないかもしれません。


観劇中の中盤以降、それと観劇後、どうにもこうにも息苦しくて仕方がなかったんですが、わたしはどんなストレスを芝居から受けたんだろう?
酸欠とかではなく……何かからストレスを感じているときの苦しさでさ?
とにかく重苦しい。しかし、この強烈に芝居から感じたストレスがないと話が成り立たないな?と強く思う。

ちなみにタージのあとはWSSを観たんですが、それだって軽い話ではないけれど精神的ダメージを個人のストレスの尺度で考えるとタージのほうが上ですね。もうね、マチソワのあいだでリラックスしようもお茶してましたが、しばらく息苦しかったし、これ何回もおかわりするひと正気かな?!みたいな気持ちでした!

いや、今からでもおかわりできるならしたいけれど、切り離して観ることができないと精神衛生上非常に良くないですね…。引っ張られますな。

噂をお聞き及びの方がいれば、舞台装置と事壮絶なシーンが強く伝わっているかも?と思うんですよ。芝居の中盤からキャストのお二人は血まみれですし。
牢獄には(刑場かな)ずっしりとした物切台、無数の籠、それに収まる手、収まりきらない手、肉片、血だまりと血まみれの衛兵二人。
で、タージマハルという唯一の美をめぐって、彼らの運命は互い違いにすれ違っていくわけですが、美の概念についても考えさせられるものがありました。
今そこにある美(完成したタージマハル)を最上の美とするために、美の立役者たちの手を切り落とすって発想がすごいエゴだよね。で、2万人の手を落とす役目が主人公である衛兵二人に課せられた重荷です。美を美と決めるのも王であるみたいな世界、怖いなーとかも。個であるはずの王が全であるってとても怖い。
その実、この構図はそんなに今の世の中でも変わってない気がする。
大なり小なり差はありますが。
で、美だよ。
そもそもさ、美なるもの。
1秒たりとて美は留まらないだろう、個にとっての価値観からすると美はひとの数だけ存在するわけですよ。だが、彼らの国において王は絶対。国と権力、王、そのひとかたまりの集合体に個が殺されていく感じがすごかったです。一つの選択が多くを巻き込んで押しつぶしていくのもすごく個と全という感じ。

抽象的ですが。

個と全のあいだにあるそれぞれの意識がね?考えさせられるんです。


それでね、劇場で悲劇喜劇を買ったんですよ。
ちょうど、タージマハルの衛兵の戯曲が載ってて(しかも月の獣の戯曲も載ってた!お得!)

今はパラパラとそれをめくりながら頭のなかで劇場で観たものを反芻しているのですが、やっぱストレスフルだよこの芝居!!!(ほめてる)

戯曲あって舞台になかったシーンもあるし、プレビュー後になくなった効果などもあるみたいなので、その辺の演出意図もありそうですが、それも含めていろいろ観たかったかもしれない。

具体的にシーンごとの感想を述べるほどわたしの心が強くないのでもう少し考えたらちゃんと感想を述べられたらいいな。

最後、手を落とされたバーブルがフマに行くなと呼びかける悲しい声も、10年後の同じ場所で衛兵として立ち尽くすフマが過去に抱いた彼自身の美と彼の友の思い出のなかに埋もれていく感じもせつなかったかな。

彼らは美を美のままに、あの日の鳥のようには飛び立てなかった――という印象もあって、その有様が美しすぎて怖いな、とも。

まったくさわやかな観劇ではありませんし、むしろ沈みがちなメンタル……みたいになる芝居ですが、短い時間でがっちり掴んで離さない密度の濃い芝居は絶品です。最高に美味い会話劇です。いろんな意味で余韻たっぷりでした。


はい、わたしはあと一つ観劇したら今年の観劇納めです。なので、年内にもう一度くらい書きに来る気がする~。

追伸

いいなと思った芝居にはもれなく推しに出てほしいです。